スイートホーム
「お、お前がすげー偉そうでムカついたから他の店員に渡そうと思ったんだよ!」


「それならば、近くにインフォメーションがあるのですから、そちらに託して下されば良かったのでは。なぜ外に出ようとしたのでしょうか?」


「い、いや、テンパっててインフォメーションは目に入らなかったし、それに俺、別に外に出ようとしていた訳じゃなくて、何も考えずについついこっちに向かって歩いていただけで…」

「とにかく、続きは事務所にてお伺いしますので」


小太刀さんはバッサリと男の言い訳を切り捨てた。


「どういういきさつにしろ、小さいお子様を突き飛ばしたのは事実ですから。その件について親御さんにきちんと釈明して下さい」


男はとうとう言葉が紡げなくなり黙り込んでしまった。


「小太刀!」


するとその時、彼を呼ぶ声と複数の足音がして、そちらに目を向けると、同じ制服に身を包んだ警備員さん二人と、スーツ姿の若い(おそらく)男性店員さんがこちらに駆け寄って来る所だった。


二人の警備員さんも当然コスモ警備保障の人だろうけど、私とは面識がない。


でも、部署が違う、独身寮に入居していない、という人と交流する機会はほとんどないのでそれは別に不思議な事ではない。


むしろ、知らない人の方が大多数を占めるだろう。


「ご苦労。怪我はないか?」


「はい。私も男性もありません」
< 132 / 290 >

この作品をシェア

pagetop