スイートホーム
答えながら、小太刀さんは私達に視線を向けた。


「ただ、お子さんの方はまだ確認していません。私がこのまま男性をお連れしますので、お二人はお子さんのフォロー、お願いします」


「了解」


「お任せ下さい」


「宇賀神さんは、私と一緒に事務所までお願いします」


「分かった」


片方の警備員さんと男性店員さん、そしてもう一人の警備員、宇賀神さんとやらに順に視線を向けながら小太刀さんはそう指示を出した。


今はすっかり大人しくなったけど、いつまた突然暴れ出すか分からないし、周りのお客さんの不安を煽らない為にも、二人体制で男を事務所まで連行するのだろう。


羽交い締めの姿勢を解き、宇賀神さんと共に男を挟み込むようにして腕を掴みながら小太刀さんはその場から歩き出した。


私達の横を通り過ぎる時、軽く頭を下げた彼に、こちらも同じ動きで応える。


「ご協力ありがとうございました」


と同時に、警備員さんと店員さんが私達に声をかけて来た。


「あとは私共にお任せ下さい」


「す、すみませんでした。私達、つい体が動いてしまって…」


「民間人がお邪魔じゃなかったかしら」


「いやいや、我々警備員も立場は『民間人』ですよ」


麻美の言葉に、警備員さんは爽やかな笑みを浮かべながら返答した。


「あ、そうなんですか?」


「ええ。特別、法的な権限を持っているという訳ではないですから」
< 133 / 290 >

この作品をシェア

pagetop