スイートホーム
「ただ、民間人にも当然、身に危険が迫った場合に正当な範囲内で防衛する権利はありますからね。そして当デパートの警備業務に就く者は自分のみならず、お客様の安全をお守りできるよう日々鍛錬を重ねておりますので、その点はご安心下さい」


店員さんもすかさず解説に加わった。


「今回の場合は、小太刀があの男性を制止している間に、お客様達がお子様を保護して下さった、という流れでよろしいんですよね?」


「ええ」


「それでしたら邪魔だなんてとんでもないです。優しいお姉さん達に声をかけてもらって、お子様もとても安心したと思いますよ」


そう答えたあと、警備員さんは腰を屈め、加奈の胸にすがり付くようにして床に座り込んだままのゆいちゃんを覗き込みながら優しく声をかけた。


「ゆいちゃん、どこか怪我とかしてない?ちょっと立ってみてくれるかな?」


「……うん」


グスグスと鼻を鳴らしながらも、ゆいちゃんは警備員さんに手を取られ、スックと力強く立ち上がった。


「ん、ひとまず大丈夫そうだね」


「じゃあ、僕達と一緒に来てくれるかな?お母さんが待ってるお部屋に連れて行くから」


「うん、行く~」


こっくりと頷きつつ素直にお返事したあと、ゆいちゃんは私達に視線を向けた。


「お姉ちゃんたち、バイバイ…」


「うん、バイバイ」


「良かったね」


「お母さんにうんと甘えなね」
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