スイートホーム
「日用品とかは別として、洋服や小物を買うのに、ただ一人で黙々とお店を回ってもつまらないじゃないねぇ。だから買い物を心から楽しむには、やっぱ気の合う女友達と行動するのが一番なんだけど…」


「なかなかみんなと都合を合わせられなかった、と」


「そうなのよね~」


眉尻を下げてそうぼやいたあと、加奈は満面の笑みで続けた。


「だから今日は貴重な時間を二人と過ごせて、ホント楽しかったよ。ありがとうね」


「それはこっちのセリフだよー」


「うん。私の方こそ、今日は麻美と加奈と遊べて嬉しかった」


荷物の整理をしつつ、ずっと二人の会話に耳を傾けていただけだった私は、そこでようやく言葉を挟んだ。


「中華屋さんでも話したけど、色々と吹っ切る事ができたし。明日からまた頑張れそうだよ」


「…彩希の未来への活力源は、他にもありそうだけどね」


「だよねぇ~」


加奈と麻美はまたもや顔を見合せ、意味ありげな笑みを浮かべた。


「へっ?」


…ホント、さっきから一体何な訳?


まったくもうっ。


追求したい気持ちはあったけれど、私は電車、二人はバスで帰宅する事になっており、それぞれ次の便の時間が迫っていたので、話はひとまずそこでお開きとなった。


「じゃーね」「また連絡するから」と言い合いつつ手を振り別れ、私はデパート内から連絡通路を通って駅構内へと向かった。
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