スイートホーム
内心どう思っていたとしても、仕事中、あからさまな敵意を剥き出しにするような人達ではないハズだけど…。


「いや!気のせいなんかじゃないっ。それまではカウンター越しに笑顔で対応してくれて、一言二言世間話も交わしてくれてたのに『用が済んだらさっさとどけ』って感じで、すっげー冷たい態度を取られた」


優さんは私の言葉に、まるで駄々っ子が癇癪を起こした時のような口調で反論した。


「そんな態度を取られ続けて、気まずくなって社食には行けなくなっちまった。自炊は苦手だし、社食で何とか栄養バランスを保ってたのに、その機会を奪われて、瞬く間に食生活が乱れた。体調がイマイチになって、新人でもやらないようなポカミスを連発して、同じ部署の連中ともギクシャクし出して…」


そして次から次へと押し寄せた負の連鎖を、今度はげんなりとした口調で解説する。


「…彩希だったらさ、俺が本調子じゃない時は、休日俺のアパートまで来て旨い飯作ってくれたり、部屋の中でまったりと過ごしてくれたりしたじゃんか。でも、梨華はそういう気配りってものが一切なくてさ」


優さんの愚痴は止まらない。


「料理を作ってくれる素振りなんか微塵も見せないし、俺の体なんかお構いなしに何が何でも外に連れ出そうとして、コイツはホント自分の事しか考えてないんだなって、しみじみ思ったよ」
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