スイートホーム
そんな私のダークな本音には当然気付く筈もなく、優さんはハハ、と力なく笑った。


「まぁ、お前は自分の趣味を仕事にしたようなもんだから。お気楽極楽な雰囲気の中、何のストレスもなく、楽しく働いて来たんだろうし、俺とは置かれてる立場、バックグラウンドがまるっきり違うんだけど」


「なっ…」


私だけではなく自分の夢を貫いて職に就いた、すべての人を侮辱する、そのあまりにも失礼極まりない言い草に心底カチンと来たけれど、とっさに反論が思い浮かばなかった。


「サラリーマンは一回躓いたら信用を回復するのは至難の技なんだよ。実際、先週部長に呼び出されて、『最近疲れてるようだから溜まってる有給を使って少し休め』って言われちまったし」


私が言葉を探している間に優さんは話を進めて行く。


「もう見放されちまったって事だよな。まぁ、心身共に疲れきってたのは事実だから、素直にその案には従ったけどさ。でも、これでますます職場に居づらくなった。このまま、来なくなるのを望まれてるかもしれない」


「そんな…」


私はいい加減イライラして来ていた。


優さんて、こんなに投げやりでネガティブで打たれ弱い人だったの?


ここまでの話を聞く限り、それほどの窮地に立たされているようには思えない。


努力次第で、いくらでも現状は変えられるだろう。
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