スイートホーム
思わずビクッと体を震わす私を見てその事に気付いたようで、小太刀さんは素早く立ち上がり、優さんに近付くと、両手を背中側で一まとめにして左手で掴み、彼を再び地面にうつ伏せにさせた。


「え?ち、ちょ、なにすっ…」


その抗議の声を無視し、優さんの動きを封じるため、左半身で彼に体重をかけるようにして地面に座り込んだ小太刀さんは、空いている右手で着ていたジャケットのポケットからケータイを取り出した。


私はハッとしながら上半身を起こし、急いで問いかける。


「こ、小太刀さん、どこに電話を?」


「警察」


「えっ!?」


「や、やめて下さいっ」


その言葉に、優さんと私は同時に叫んだ。


「なぜ?」


ケータイ画面から顔を上げ、私に視線を向けながら小太刀さんは冷静に質問を返して来る。


「あ、あの、別に私どこもケガはしていないですし、それに、警察に連絡したとしても、ただの男女の痴話喧嘩って事で処理されてしまうんじゃないでしょうか?」


「そんなことはない。女性を押し倒して馬乗りになって首まで締めるような危険人物、警察がみすみす見逃したりする訳はない。しかるべき対処をしてくれる筈だ」


そこで小太刀さんは何故かふい、と私から視線を反らし、ポツリと呟いた。


「昔とは違うから」


「……え?」
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