スイートホーム
「どの程度の刑になるかは今の段階では判断できないが、少なくとも一時でも警察の世話になったという事実は一生消えないし、世間からの風当たりは強くなるだろう」


「そ、そんな…」


優さんは今にも気を失いそうなくらい顔面蒼白になりながら呟いた。


「おれ…なんてことを…」


「とにかく止めて下さい!」


私はそう叫びつつ、ヨロヨロと立ち上がった。


「私がつい彼を煽るようなこと言ってしまったから…。ね?優さん。もう、二度とこんな事しないって、誓ってくれるよね?」


言いながら、優さんの側まで近付き膝を着くと、肩に手を置いた。


「警察に捕まる事を考えたら、職場でのいざこざなんかどうってことないでしょ?」


「う、うん…」


呆然としながらも優さんは素直に頷いた。


「だったら頑張って。自分の居場所は自分できちんと守らなくちゃ」


優さんは壊れたおもちゃのように何度もコクコクと頷く。


自分が警察沙汰を起こしてしまったという事実は、今までの悩みなど木っ端微塵に吹き飛ぶほどの衝撃だったようだ。


ごく普通の家庭に生まれ。


ご両親の愛情のもと明るく素直に育ち、人間関係で苦労などした事なく、恵まれた環境の中勉学に励み、地元の進学校から有名私大へと進学し、就職難の時代に一流企業にすんなりと就職を果たした。
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