スイートホーム
「あ…す、すみません」


謝罪しつつ、私は慌てて体勢を立て直した。


膝立ちからの距離とはいえ、あの勢いのまま倒れ込み、しかも顔から着地していたりしたら、到底無傷ではいられなかっただろう。


「本当に、すみませんでした…」


立ち上がる気力はなく、その場にペタン、と座り込んだあと、改めて謝罪の言葉を口にする。


「せっかく助けに来ていただいたのに、それを無にするような事をしてしまって…」


「俺への気遣いは別に必要ない」


サラリと答えたあと、小太刀さんは続けた。


「ただ、自分を襲った相手に、下手な情けをかけるのはどうかと思うが」


「え?い、いえ、襲うだなんて。ホントに、あの人はそんなつもりじゃなかったと思うんです」


息の根を止めるような首の締め方ではなかったし。


「端から見たら襲われている以外の何物でもなかったけどな」


小太刀さんはそれまでよりも、ちょっぴりクールな口調で言い放った。


「あんた、どこにも怪我は無いと言っていたけど、首周りがかなり赤くなってるぞ」


「えっ」


その指摘に、私は思わず両手で自分の首を掴んだ。


「それに地面に押し倒されて上から圧迫されている。今は気分が昂っているから自覚がないんだろうけど、明日以降、あちこちアザができていたり体が痛んだりするだろうな」


心なしか厳しい眼差しを向けながら、小太刀さんは言葉を繋いだ。
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