スイートホーム
だから辛抱強く、私の号泣タイムに付き合ってくれていた小太刀さんに向けて、心から謝罪する。


だけど自分自身は、まるでスポーツをした後のような疲労感と、この上ない爽快感に包まれていたりするんだけど。


「これ、きちんと洗ってからお返ししますね」


手の中でこねくりまわしてシワクチャになってしまったハンカチをたたみながら言葉を発した。


「そんな気を使わなくて良い」


「や、あの、涙で濡れちゃってますから」


そして認めたくはないけれど、その液体の中にはおそらく鼻水と涎成分も…。


「このまま渡すのは私が嫌なので、洗わせて下さい」


「そうか」


無理矢理取り返すような事はせず、あっさりと納得してくれると、小太刀さんはスックと立ち上がった。


「そろそろ帰ろう。田所さんも心配しているだろうから。立てるか?」


「…はい」


差し出された小太刀さんの手をドキドキしながら掴み、立ち上がった後、全身くまなく叩いて服に付いた埃を落とす。


さらに、かなり乱れているであろう髪型を手グシで整えてから、おずおずと切り出した。


「あの…」


「ん?」


「ふみ…田所の奥さんには、余計な心配はかけたくないんです」


襲われたなんて聞いたら卒倒してしまうかもしれない。


「なので、先程の件は黙っておいていただけると助かります」


「分かった」
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