スイートホーム
そう返答した後、小太刀さんは続けた。


「なら、首筋は隠しておいた方が良い」


「え?」


一瞬何でだろうと思ったけれど、すぐにその事実を思い出す。


「あ、そうですね。…よいしょ」


私は着ていたコートのボタンを一番上まで留めると、さらに衿を立てた。


「どうでしょうか?」


「ん、大丈夫だろう」


頷きつつ、歩き出した小太刀さんに従い、私も歩を進め、神社を後にする。


「あ、彩希ちゃん!」


エントランスに入るやいなや、管理人室の小窓越しに奥さんの声が響いて来た。


「良かった~。無事だったのねー!」


一旦見えなくなった奥さんは、すぐにドアから姿を現した。


「はい。大丈夫ですよ」


「ごめんね?一人で騒いじゃって。でも、何だかすごく嫌な感じがして、思わず小太刀さんにボディーガードを頼んじゃった」


「いえ、それだけ私を心配して下さったって事ですもん。ありがたいですよ」


実際にその悪い予感はズバリ的中しているし。


私と優さんは、文子さんの機転によって今後の人生を救われたのだ。


正式にお礼を言えないのが心苦しい所だけど。


「あら?何だか彩希ちゃん目が赤くない?」


その問いかけに、内心ギクリとした。


「え、えと、外、結構風が強くて」


必死に言い訳を考える。


「砂埃が舞って、クシャミが止まらなくて大変だったんですよ。その時に涙も出て」
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