スイートホーム
コートを羽織り出したのは11月に入ってからで、まだほとんど袖を通していないしもったいない気もするけれど、今日の嫌な記憶をリセットする為にも、クリーニングに出す事にしよう。


そう決心し、私はコートのポケットから例のハンカチを取り出すと、とりあえずテーブルの上に置いた。


次いでクローゼットの扉を開けて、何かの時に役立つだろうと捨てずに取ってある色んなお店の紙袋の中から大きめの物をチョイスし、コートを畳んでその中に仕舞う。


午後にでも出しに行こうと部屋の出入口付近の壁際に置いた所で、ふと気付いた。


「あ、そういえば掃除がやりかけだったんだっけ」


放置したままだったハンディクリーナーを手に取り、手付かずだった場所の掃除を終わらせた。


「洗濯機も回してたんだよね」


とはいえそっちは全自動なので、すでに完了しているハズ。


クリーナーを定位置に片付けたあと、私はハンカチを手に洗面所へと向かった。


まずは洗面器に水を張り、ハンカチを優しく手洗い。


水気を切り、案の定すでに止まっていた洗濯機の中の物と一緒にカゴに入れ、ベランダまで持って行く。


寮は敷地を高い塀で囲ってあってセキュリティシステムも万全だし、ベランダが面しているのは細い裏通り。


なので洗濯物は堂々と外干ししているのだ。


さすがに下着類だけは室内にコソッと干しているけど。


「これでヨシ、と」
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