スイートホーム
やっぱり、とてもじゃないけど今日は告白までは無理だわ…。


もうこのやり取りだけでいっぱいいっぱいだもの。


「じゃあ、遠慮なくいただいておく」


そう言うと、小太刀さんは私がずっと差し出したままだった紙袋とハンカチを手に取ってくれた。


ここで突き返したりしたらむしろ私が傷付くと思い、受け入れて下さったのだろう。


本当に優しい人だ。


「ところで」


『用も済んだことだし、そろそろおいとまするか』と別れの挨拶を口にしようとしたその時、小太刀さんがふいに問い掛けて来た。


「湿布薬は持ってるか?」


「え?しっぷ…?」


「おそらく、これからあちこち痛む箇所が出てくるだろうから、用意しておいた方が良い」


「あ…。い、いえ」


突然の事に思わず呆けてしまった私だったけれど、彼の言わんとする事がようやく理解できた。


さきほど優さんから受けた攻撃の、後遺症を懸念して下さっているようだ。


「絆創膏と消毒液くらいならあるんですけど、湿布薬までは常備していなかったです」


立ちっぱなしの仕事に就いているわりには、私は腰痛だの肩こりだの足のむくみなどとはとんと無縁だった。


学生時代、教授が豆知識としてそれらの回避法(体操やマッサージ)を伝授してくれて、自然と日課にしていたのが良かったのかもしれない。


「それなら、家にあるのを持って行くと良い」
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