スイートホーム
『警察官の知り合いが居れば、その人が働きかけをすれば、優先的に守ってもらえるって事ですか!?』


「もともと張りつめた、いたたまれない空気の中執り行われていた式だったんだけど、さらにその場が凍りついたよ」


『姉は、ちゃんとあなた達の仲間に相談しましたよ。でも、何の救いの手も差し伸べてはもらえなかった。まさか警察官の知り合いが居るとは思わず、何の伝もコネも後ろ楯もない小娘に見えたから、平気で見殺しにしたってことですか!?』


「先輩は『そういう意味じゃない』と必死に弁明したんだけど、興奮状態の彼は聞く耳持たずだった。そこで初めて、ずっと生きる屍だった親父さんとお袋さんは自分を取り戻したようで、小太刀を二人で抱き抱えるようにしながら別の部屋に連れて行ったんだ。そして俺達は親戚の人達に、やんわりと早く帰るよう促された」


冷静に見えた小太刀少年も、やはり精神的にかなりのダメージを負っていたという事だ。


でも、そんなのは当たり前の話だ。


私が同じ立場だったとしたら、その場に立っている事さえ困難だったかもしれない。


「告別式は平日だし、それぞれ学校や会社があるから、俺達はもともと通夜にしか参列しない予定だったんだ。でも、美鈴さんとの最後の別れがそんな風になってしまって、小太刀一家に対して何のフォローもできなくて、かなり落ち込んだな、あの時は」
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