スイートホーム
「そんな小太刀を見ているうちに、いつしか俺達も、気負わず自然に、彼と接する事ができるようになっていた」
そこで加賀屋さんは自嘲気味な笑みを漏らした。
「苦しみの渦中にいた者に反対に救われてるんだもんな。ほんと、情けない男だよ、俺って」
「そんな…」
「後から知ったんだけどさ、お袋さんは美鈴さんの葬儀のあと、しばらく寝込んでしまっていたらしいんだ。その看病と自分自身の心の回復も兼ねて、親父さんも会社を休んでいたらしい。でも、いち早く立ち上がって、必死に前を向いて歩こうとしている息子の姿を見て、自分達も頑張って生きて行かなくちゃって、思ったんだろうな。親父さんとお袋さんもほどなくして社会復帰を果たした」
「小太刀さんの功績ですね」
「うん。ほんとアイツ、すごい奴だよな」
「そうですね」
だけど。
あまりにもいじらしくて、切なくて、哀し過ぎる強さ。
「それ以前も、それ以降も、小太刀は一度も人前で涙を見せたりはしなかった。いや、陰では泣いていたのかもしれないけどさ。でも、美鈴さんの七回忌を迎える年に、ポツリと呟いたんだ」
「何て…?」
「『7つも離れていたのに、もうすぐ姉の年を追い越してしまう』って。その時一瞬だけ、アイツが泣いているように見えた」
そこで加賀屋さんは自嘲気味な笑みを漏らした。
「苦しみの渦中にいた者に反対に救われてるんだもんな。ほんと、情けない男だよ、俺って」
「そんな…」
「後から知ったんだけどさ、お袋さんは美鈴さんの葬儀のあと、しばらく寝込んでしまっていたらしいんだ。その看病と自分自身の心の回復も兼ねて、親父さんも会社を休んでいたらしい。でも、いち早く立ち上がって、必死に前を向いて歩こうとしている息子の姿を見て、自分達も頑張って生きて行かなくちゃって、思ったんだろうな。親父さんとお袋さんもほどなくして社会復帰を果たした」
「小太刀さんの功績ですね」
「うん。ほんとアイツ、すごい奴だよな」
「そうですね」
だけど。
あまりにもいじらしくて、切なくて、哀し過ぎる強さ。
「それ以前も、それ以降も、小太刀は一度も人前で涙を見せたりはしなかった。いや、陰では泣いていたのかもしれないけどさ。でも、美鈴さんの七回忌を迎える年に、ポツリと呟いたんだ」
「何て…?」
「『7つも離れていたのに、もうすぐ姉の年を追い越してしまう』って。その時一瞬だけ、アイツが泣いているように見えた」