スイートホーム
「とにかく俺は守家さんの味方だからさ。頑張ってよ」


「あれー?」


どう答えたものか迷っていると、突然、入口付近から陽気な声が響いて来た。


「何ですか?二人で顔つき合わせてコソコソと~」


慌てて視線を向けると、入居者の中で最年少の相川さんが無邪気な笑顔を浮かべながら近付いて来る所だった。


現時点で21歳。


私とは実に、7歳もの年の差がある。


「コソコソなんかしてねーよ」


相川さんに視線を向け、苦笑しながら加賀屋さんが答えた。


「予約表の変更をお願いしてたんだよ。ついでに、今後の献立のリクエストなんかもしたりして」


「えっ。マジっスか?俺もリクエストしたい!」


とっさの加賀屋さんの言い訳に感心している間に相川さんは私達の居るテーブルまでたどり着き、興奮気味に言葉を発した。


「いや、あくまでも『リクエスト』だからな?それが実現するとは限らねーんだから、勘違いすんなよ?」


そんな彼を、加賀屋さんはやんわりとたしなめる。


「守家さんは栄養バランスだの予算だの、色々考えながら献立作りしなくちゃいけないんだから」


「分かってますよー!ダメで元々でしょ?守家さん。オレ、お子様ランチが食べたいんスよ」


「お、お子様ランチ?」
「何だそりゃ!?」


さっそく繰り出されたその予想外のリクエストに、思わず加賀屋さんと同時に驚きの声を上げてしまう。
< 211 / 290 >

この作品をシェア

pagetop