スイートホーム
「お久しぶりです。今、お話してもよろしいでしょうか?」


『大丈夫大丈夫。ていうか、私がかけたから折り返してくれたんだよね?』


「はい。先ほどは出られなくてすみませんでした」


『そんな~。私が勝手にかけたんだから、気にしないでよ』


「それで、ご用件は…?」


『あ、うん…』


何故か畑山さんは突然トーンダウンすると、とても歯切れの悪い口調で続けた。


『えっと…。ごめんね?実は私達、その、柳田さんとあなたが…』


「……別れた事を知っている、という話ですか?」


『え!?』


私の問いかけに畑山さんは心底驚いたようだ。


『私達が知ってるって事を、守家さんすでに知ってたの!?』


「ええ。柳田さんから聞きましたから」


『ええっ?』


畑山さんがこんな声を発するのは珍しいよな、なんて呑気に考えている間にさらに質問を重ねられた。


『ち、ちょっと待って?いつ、どこで柳田さんと接触したの?まだ彼と連絡取り合ってるの?』


「いえ。私はもう交流するつもりはなかったんですけど、つい最近、彼が私の職場を勝手に訪ねて来たんです」


『そ、そうなの?』


「ええ。復縁を迫ったり愚痴を吐いたりして。その過程で、田中さん達に私との事がバレてしまったという話が出て」


『え?復縁要請?』


「…はい」


『そ、それで、守家さんはどう対処したの?』
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