スイートホーム
「そうね」


『独身寮』というくらいだから既婚者は当然入れないし、また、独身でも寮暮らしに抵抗がある人は実家から通勤、もしくは別に自分でアパートを借りるので、小太刀さんの部署の人達が全員ここに集うという事はない。


きっとそういう方達とは一度も顔を会わせることなく、定年を迎える事になるんだろうな。


「あ。じゃあ、今夜の夜勤ももしかして…?」


「そうっスね。小太刀さんと加賀屋さんでクライアントの警護に当たってる筈です」


…そんな重要な任務の前に、あんなどさくさ紛れの告白をしてしまったのか…。


つくづく私って…。


「オレももうちょっとしたらいよいよ4号業務デビューなんスよ」


あまりのKYっぷりに深く落ち込みそうになったけれど、目の前の相川さんをほったらかしにする訳にもいかないので、何とか心の位置を保った。


「…相川さんはまだ、その任務を任された事はないんですか?」


「ないっス。今は他の業務のヘルプをしつつ4号業務の座学と訓練を受けてる段階なんですよ。要するに、研修生的な?」


「そうなんだ」


「それを経てから実際の現場に派遣されるんですけど、もちろんいきなり独り立ちってのは無いですよ。というか、そもそも必ず二人体制で業務にあたる決まりで、新人はさらにそこにくっつけられるんです。それで先輩達にフォローしてもらいながら経験値を上げて行く、と」
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