スイートホーム
何か言いたそうな、だけど相応しい言葉が見つからずもどかしそうな、何とも言えない表情で私を見つめている。


人生経験豊富な方だもんね。


詳細を知らずとも、私と梨華の間に漂う不穏な空気を感じ取ったのに違いない。


すごく、申し訳ない。


こんな超個人的な事柄で、お仕事中戸惑わせてしまうなんて。


「小太刀さん、すぐに来るって…」


振り返り、梨華にそう告げた所で、階段付近から軽やかな足音が響いて来た。


間を置かず、小太刀さんが自動ドアを抜けてエントランスホールへと姿を現す。


「あ、すみませんでした。突然お呼び立てしちゃって」


私が言葉を発するよりも先に笑顔でそう言いながら、梨華が小太刀さんに歩み寄った。


「一度お会いしてますよね?早乙女梨華です。以後お見知りおきを」


「…どうも、小太刀です」


彼女が来訪者だったという事に、さすがの小太刀さんもちょっと驚いたようだ。


若干右側の眉を上げつつ、挨拶を返していた。


ただ、普段から彼をよく観察していないと、そのミクロン単位の変化には気付けないかもしれないけれど。


「それで、私に何のご用でしょうか?」


「実は、危険回避の方法についてアドバイスをいただきたくて…」


すぐにポーカーフェイスに戻り、当然の疑問を口にする小太刀さんに、梨華はしおらしく返答した。
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