スイートホーム
目の前で、勝利の微笑みを浮かべながら私を見つめて来る梨華に、これ以上優越感を持たせるような行為だけは。


すると小太刀さんはふいにその場から歩き出し、小窓前のカウンターに近付くと、その上に置いてあったパンフレットを一部手に取った。


コスモ警備保障の会社案内で、来訪者に自由にお持ち帰りいただけるよう、常に備えているのである。


「まずはこちらの相談窓口に電話をおかけ下さい」


小太刀さんは素早く梨華に接近し、パンフレットを裏返しにして電話番号が記載してある箇所を指差しつつ解説した。


「お客様のお話の内容に応じてオペレーターが担当部署にお繋ぎいたしますので。例えば先ほどのようなお話なら、『ストーカーへの対処法について相談したい』と仰っていただければ、私の所属する部署に電話が回されると思います」


「………え?」


「どのような行動を取れば良いのか、警察へはどのように相談したら良いのか等のアドバイスをさせていただきます。もし危険が間近に迫っていて、しかし警察に頼るのはやはり抵抗があるという場合、お客様のご要望があればボディガードの派遣のご案内もするでしょう」


小太刀さんはいつものポーカーフェイスで、淡々と必要事項を伝えて行く。


「ただ、私は現在すでに抱えている案件がありますので、担当は別の者になりますが」


パンフレットを梨華に差し出しながら、小太刀さんは改めて確約した。
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