スイートホーム
でも、それはとりあえず心の奥に押し隠し、「分かりました」と声を張り上げた。


数十分後、やるべき事をやり終え、約束通りテーブル前へと移動して来た私に向けて、相川さんは陽気に声を発する。


「守家さん!俺、いよいよ4号業務デビューっスよ!」


「え?」


「新しく入った案件を、加賀屋さんと小太刀さんのペアにくっついて担当する事になったんス!」


「あ、そうなんですか」


「それはおめでとうございます…」と続けようとして、『いや、その返しはかなり不謹慎じゃないの?』とハタと気が付く。


彼らが出動するという事は、イコール、今現在どこかの誰かが危機的状況下にあるという事を意味する。


相川さんが念願の業務に就けたのは喜ばしい事ではあるけれど、相手方の心情を思えば、かけるべき言葉はそれではない。


「…くれぐれもお体に気を付けて、依頼人の為にお仕事頑張って下さいね」


「ハイ!ありがとうございます!」


一瞬考えてから繰り出した私なりの激励の言葉に、相川さんは満面の笑みを浮かべて答えた。


「ただ、今回はそんなに危険な任務って訳ではないんですけど…。あ、守家さんもここ、座って下さいよ」


話を中断し、自分の隣の椅子を引きつつそう促す相川さんの言葉に素直に従う事にする。


きちんと腰を落ち着け、改めて彼に視線を合わせた所で解説は再開された。
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