スイートホーム
「ある外国の企業と日本の企業が業務提携をする事になって、契約日当日はもちろんのこと、その前後の期間、トータル2週間弱かな?日本側の重役の身辺警護を俺達がする事になったんス」


「えっ。2週間も?」


「ハイ」


「大変だね…」


約半月、もちろん休息日はあるんだろうけど、緊張状態を保ったまま過ごさなくちゃいけなくなるのか。


「いやでも、きっちり終わりが見えてるから、比較的精神的負担の少ない案件だと思うよ」


心底不安げな声音になってしまった私を気遣うように、加賀屋さんが明るめの口調で会話に加わって来た。


「別に契約を阻害するべく、脅迫状が届いていたりする訳ではないから。ただ、新しい事を始めようとする時には、必ずそれに対して不服を感じる人が出て来てしまうのも事実で、そういう人達が暴走してしまった際に迅速に対応できるよう、俺達が雇われたっていうだけの話で」


「映画やドラマじゃあるまいし、銃撃戦になって俺達が自分の身を犠牲にしてクライアントを助けて…なんて展開になる事もないでしょうからねー。ホント、万が一の時の為の保険ですよ」


「しかし、その『万が一』が起こらない保証はどこにもない」


すると、それまで無言だった小太刀さんが、静かに口を開いた。


「実際に現場に入ってみないとどうなるかは分からない。油断は禁物だ」


「分かってますよー」
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