スイートホーム
「うん。分かりました」


「ヨシ!決まり!あーもう、今から超絶に楽しみ過ぎるんですけどー」


相川さんは見るからにウキウキワクワク感満載の、輝くばかりの笑顔で言葉を繋いだ。


「加賀屋さんも、守家さんの新作メニューにありつけるのは心底嬉しいでしょ?」


「そりゃまぁ、確かにそうなんだけど…。お前の要望がこうもすんなり通ってしまうのかと思うと、胸中かなり複雑なんだよな」


「えーっ!なんスかそれぇー!」


言葉通りの加賀屋さんの憎々しげな口調と表情、それに対しての相川さんの返しに、私は思わず盛大に吹き出してしまった。


ホント、この二人のやり取りを聞いてると、とても面白くて楽しくて心が癒される。


働く前はまさか入居者の方達とこんなに心から打ち解けられて、素直に思う存分、お愛想ではない笑い声を上げられるまでの関係性になれるだなんて、夢にも思っていなかった。


確実に、実家に居た時よりも、私はリラックスしきっていると思う。


そこで唐突にその事実に気が付いた。



………ああ。


なんだ。
私だって、いつの間にか手に入れていたじゃないの。


精神的に安らげる、とても居心地の良い空間。


安心して帰る事ができる場所。


「と、とにかく、ゴールに見えてるお子様ランチを目標に仕事を頑張ろうっと!」


「…心の拠り所を持ち、ポテンシャルを保つのは結構だが」
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