スイートホーム
「あっ」


だけど、何故か突然響き渡った加賀屋さんの叫び声に、遠退きそうだった意識が覚醒する。


「そうだ相川。俺、お前に格闘技のDVD貸してたよな?」


「へっ?あ、はい」


「次、知り合いに貸す約束してるんだよ。早いとこ返してもらわねーと。ホラ、お前の部屋行くぞ」


えっ!?


「ちょっ。なんスか突然。別にこのタイミングじゃなくても良くないですか?」


私の胸にも浮かび上がった当然の疑問を相川さんが投げ掛ける。


「まだ話の途中じゃないっスか。俺、他にも守家さんに言いたい事が…」
「何言ってんだよ。守家さんはまだ仕事中なんだから。これ以上引き留めたら迷惑だろ。それに、思い立った時に行動しとかねーと」


言いながら加賀屋さんは席を立ち、相川さんに近づくと、腕を掴んで強引に引き上げた。


「ホラ、さっさと行くぞ。んじゃ、そういう訳だから、守家さんよろしくね」


「え?あ、あのっ…」


「なんなんスかもー!加賀屋さん自由過ぎっスよー」


抗議の声を上げつつも、加賀屋さんの拘束を解くのは物理的にも精神的にも難しいらしく、相川さんはそのまま連行されてしまった。


ち、ちょっと、酷くないでしょうか!?加賀屋さんっ。


なぜに小太刀さんも一緒に連れて行ってくれないのですか?


なぜにこの雰囲気の中、二人っきりにさせたりするんでしょうか!?
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