スイートホーム
違うシチュエーションでこうなったならば、天にも昇る気持ちだっただろうけど、今はただただテンぱるばかり。


そんな事を思いながら、恐る恐る小太刀さんに視線を向けてみると、腕を組み、目を閉じて、何かを思案している様子だった。


眉間には微かにシワが寄っている。


「あ、あの…」


しかしいつまでもここで二人、固まっている訳にもいかない。


私は意を決し、小太刀さんに声をかけた。


「何だか、すみませんでした…」


僅かなタイムラグのあと、小太刀さんはゆっくりと瞼を開き、私に視線を合わせる。


「私が無責任に、場違いな話を出してしまったせいで、小太刀さんに不快感を抱かせてしまったみたいで」


相変わらずの鋭い眼光に胸をドキドキキュンキュンさせながらも、成功しているかどうかは自分では定かではないポーカーフェイスを必死に保ちつつ言葉を繰り出した。


「相川さんは私に気を使って話に乗って下さっただけですから、もうこれ以上は…」
「別に、あんたや相川に対して怒っている訳じゃない」


小太刀さんは私の言葉を遮るように口を開いた。


「こういった事で心乱されて、八つ当たりにも程がある叱責をしてしまうなんて、その未熟さに自分自身苛立ってはいるけれど」


「え?」


「だから今、必死に精神を落ち着かせていたんだ」


「あ、そ、そうだったんですね。すみませんでした。邪魔してしまって」
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