スイートホーム
「確かに勝手だな」


自分の分析に対する肯定の言葉をすんなりあっさり挟まれて、思わず発言の途中でフリーズしてしまった。


「俺が放った言葉は忘れる事なんかできないと言いながら、自分の発言は速やかに記憶から消すようにと、矛盾極まりない命令をして来たり」


「…え?」


正直頭が大混乱で、小太刀さんが何の事を言っているのかとっさに理解できなかったけれど。


「そ、そんな。命令だなんて、めっそうもないです」


そのキーワードには大いに引っ掛かり、自分はそんな上から目線で小太刀さんに接した事などないと、弁解せずにはいられなかった。


「それは小太刀さんの勘違いです。あ、もちろん、誤解を招くような言動を取った私もいけないんですけど…」


「俺は女性と、部屋で二人きりになるような状況は絶対に避けている」


「んんっ?」


「女性本人に余計な精神的負担をかけない為でもあるし、周りにいらぬ誤解を与えない為でもある」


「あ、そういえばこの前、梨華に言ってましたよね…」


何だか今日の小太刀さんは随分話に脈絡がないよな~と感じつつ、そう返答した。


「とても紳士的で、賢明な判断だと思います」


「姉の事件を、自ら進んで口にするなんて事も、今まではありえなかった」


「…お辛い経験ですから、当然ですよね」


第三者に気軽に明かす事なんてできる訳がない。


「だけど、例外ができた」
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