スイートホーム
『私があんたに似たんじゃなくて、順番としてはあんたが私に似たんでしょうよ』というツッコミを繰り出そうかどうしようか迷っている間に、志希はさらに続けた。


「しっかし姉ちゃん、よっぽど貯め込んでんだろうなー。そんだけ質素な生活してんだから」


「…そんな事ないよ」


「いんや、あるね。姉ちゃんの給料なら、月に15万は余裕で貯金できるハズだもん」


「はぁ?」


その聞き捨てならないセリフに思わず鍋を洗う手を止めて、速攻振り向きつつ反論した。


「15万なんて、そんな大金貯金に回せる訳がないでしょ?家にお給料の半分入れてるのに」


「へ!?」


今度は志希が素頓狂な声を発する番だった。


お箸で掴んだ肉じゃがの芋を、中途半端な位置に掲げたまま、目をパチパチさせて問い掛ける。


「半分て…。姉ちゃん、家に金なんか入れてたの?」


「…あんたは入れてないの?」


「入れる訳ねーじゃん!何のための実家暮らしだよ」


やっぱりね…。


それまでの疑惑が確信に変わり、心の中でため息を吐いたその時、お母さんが台所へと入って来た。


「はぁ~、良いお湯だったわ~」


お風呂上がりの水分補給に来たのだろう。


案の定、水切りカゴからコップを取り、冷蔵庫に近付くと、水のペットボトルを取り出した。


「あ、彩希。後は私がやるから、早くお風呂入って来ちゃいなさいよ」


「うん…」
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