スイートホーム
苦笑いで冗談混じりに抗議する志希は置き去りにして、お母さんは『キッ!』という感じで私に鋭い視線を向けた。


「それなのに、何なの?彩希。弟にお金の事でグチグチ文句を言うなんてはしたない」


「え?……いや、それは話の流れで、ただ事実を伝えただけで…」


「あなたはいつかお嫁に行っちゃう立場なのよ?将来、志希が私達の面倒を見てくれる事になるんだから。長い目で見たら、あなたとは負担の割合が大きく違うの。独身の時くらい、自由にさせてあげなさいよ」


「……じゃない」


「なによ?」


「だったら、前もってそう言っておいてくれれば良かったじゃないっ」


さすがに頭に来て、私にしては珍しく反撃に出た。


「志希には余計な事を言うんじゃない、って!」


「そんなの、言わなくても察するのがお姉ちゃんってもんでしょ!?まったく、ホントあんたって子は人に対しての気配りってものが全然できてないんだから」


「ちょ、ちょ。何だよケンカすんなよー。メシが不味くなるだろー」


そもそものきっかけは自分が作ったくせに、志希は焦りながら私達の仲裁を始めた。


「分かった。俺も来月から、ちゃんと金出すからさ」


「え?」


「でも俺、月2万が限度だよ?前から欲しかった時計、ローンで買っちまったばっかだし」


「まぁ。そんな、無理しなくて良いのよ?」
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