スイートホーム
奥さんがグラスをそれぞれの席の前に置き、私の右隣に腰かけた所でお茶会が始まった。


「入居者は、全部で15人いらっしゃるんですよね?」


「いただきます」と唱え、麦茶を一口いただいてから質問を再開した。


「あれだけの規模の会社で独身寮に入る人が15人て、意外と少ないんですね」


というか、そもそも部屋数自体が20部屋しかないのだ。


4階建ての建物で1階に2部屋、それより上のフロアにそれぞれ6部屋ずつ、という造り。


警備員さんに限らず、内勤の男性だって寮があるなら入りたいと思う人はいるだろうし、需要と供給が全然釣り合っていないのではないかと思ってしまった。


「ああ、ここ以外にもいくつか寮はあるのよ。独身向けだけじゃなく家族向けもね。部署ごとに分かれてる感じで」


「あ、そうなんですか?」


「ええ。でね、ここに居る人達はコスモ警備保障の中でも選りすぐりの、エリートばかりなのよ」


「え?」


「どんな仕事だって大変だけど、警備業務の中でも特にハードな、4号業務に就いてる人達なんだ」


「よんご…あ、いわゆる『ボディーガード』ってやつですね?」


旦那さんが最近覚えたばかりの言葉を発したので、思わず興奮気味に問い掛けてしまった。


「そうそう。良く知ってるな」


「コスモ警備保障のホームページで知りました」


「ああ、若い人はそういうのはお手のもんだもんな」
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