スイートホーム
というか、実際にそんな立場になったりしたら貞操の危機だし、とてもじゃないけど気持ち悪くて怖くてその人達と交流を続けたりなんかできない。


そのありえなさやとんでもなさは、あくまでもフィクションとして楽しむものだ。


「あ、とりあえず部屋に帰るか。もうすぐ夕飯だし」


「そうですね」


私が二次元世界に思いを馳せている事など露知らず、そう提案して来た加賀屋さんにすぐさま同意し、それぞれ自室へと引き上げた。


お互いに仕事帰り、買い物帰りで荷物を持っているので、まずはそれを部屋に置いて来ないとね。


「あと10分弱か…」


買ってきた物を所定の場所に納めたあと、ケータイで時間を確認しつつ呟く。


夜7時から夕飯といってもピッタリその時間に食堂に行く必要はなく、そこから8時半くらいまでの間に食べ終えれば良い決まりになっていた。


でも、私は自分がフリーの時はなるべく早めに済ませる事にしている。


しばらくしてから再びケータイに視線を向け、7時を回ったのを確認してから食堂へと赴いた。


「今日は酢豚定食ですよね」


「うん、そう。大塚さんがせっせとこしらえてくれたからね。たんと召し上がれ」


厨房と食堂を繋ぐカウンターで奥さんとそんなやり取りをしつつ、定食が乗ったトレイを受け取り、いつもの定位置に腰掛けてさっそく食し始めた。
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