憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 「・・・ねぇ、早川さん。 ウチの高校にだって、早川さんより頭が良くて美人なコはたくさんいるよね?? でも、それでもオレは早川さんを好きになったよ。 早川さんが生きていて、オレを好きだって言ってくれてる限り、オレは他のコと付き合いたいとは思わないよ」

 「・・・木崎センパイも暗にワタシを『ブス』扱いするんですね」

 早川さんが、涙をいっぱいに溜めた目で、少しだけ笑ってくれた。

 「『ブス』とは言ってない。 美人は美人で好きだけど、美人より早川さんが好きだって話」

 早川さんに微笑み返すと『美人に勝つブスって希少価値高いですね』と早川さんがまた笑った。

 笑った早川さんの目から、遂に涙が1粒零れた。

 「早川さん、少しだけ時間ちょうだい。 オカンの気持ちが落ち着くまで待って欲しい。 オカンに絶対オレたちの事認めてもらうから」

 人差し指で早川さんの涙を拭うと、

 「はい」

 早川さんが、優しい笑顔でオレを見上げながら鼻を啜った。

 本当は泣いてる彼女を抱きしめたい。

 だけど、リビングには気を狂わせたオカンがいる。

 早川さんを送ってあげる事さえ出来ない。

 「・・・気をつけて帰ってね。 送れなくてゴメン」

 抱きしめられないから、せめて早川さんの頭を撫でる。

 「全然。 まだ全然明るいですし。 真っ昼間ですし。 ワタシ、1人で夜の山登った事ありますし」

 早川さんが、オレに頭を撫でられながら気持ち良さそうな顔をした。

 もっと触りたい。

 もっともっと触れたい。
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