臆病者のシーソーゲーム(仮)



ケータイ会社なんて数社だけしかなくて、

同じケータイ会社の子なんてクラスにも沢山居るだろう。


だけど何故だろう…

悠と同じケータイ会社なんだって事が…

ただそれだけの事が嬉しかったんだ。



それは仲間意識なのか、

それとも………………。







「ごめん、気づかなかった」


ケータイを待ち受け画面に戻して私はケータイを閉じた。




私がケータイをポケットに仕舞って、
悠を見上げて顔を合わせれば、


「じゃあ行こっか」



と、公園から出る為に歩き始めた悠。


私に背中を向けた悠は、
私がこのまま公園に留まっても振り返らず、私が居ない事に気づかないかもしれない。

何だかそれが本当そうで嫌で…

私は駆け足で悠の隣に並ぶ。



私の足より長い足の悠は歩くのも速くて。

私は置いて行かれない様にいつもの二倍速いスピードで歩いた。






悠…私も一応女子なんだよ。

悠の歩くスピードだと、私は置いて行かれちゃうんだよ。


言いたかったけど、
『友人』を望む悠には言えなかったから悟られないようにした。



 
< 89 / 91 >

この作品をシェア

pagetop