ツンデレくんを呼んでみた。
ドライヤーで髪を乾かしていたら中出が戻ってきた。


「使うでしょ」


ドライヤーを中出に渡した時に中出の指とわずかに触れた。あたしは慌てて手を引っ込めてしまって、ドライヤーがごとりと音を立てて床に落ちた。


「あ……ごめん」


中出は何も言わずにドライヤーを拾って髪を乾かし始めた。あたしは俯いた。


今更こんなことで恥ずかしくなるなんて。


罪悪感から来るものだろうか。


ため息が出て横になった。ホットカーペットのおかけでじわじわと暖かい。これは確かに眠気を誘う。


目を閉じてドライヤーの轟音を聞いていた。


ああ、腹が痛い。


『初めては中出がいい』


いつか志満ちゃんに話したことを思い出した。


「風邪引くって言ったんは奈子やろ」


ドライヤーの音が止まって中出の声が降ってきた。


「あたしはいいけど、中出は今忙しい時期だから体調崩しちゃ中出が困るでしょ」

「奈子が風邪引いたら俺も困る」

「は?」


目を開けて上を向くと中出と目が合う。


「寝に来たのに寝床がないどころか看病せんなんとか絶対嫌」

「ああ、そういうこと」


ここは既にあんたの仮宿として定着しているわけね。


仮宿の家主がベッド占領してたら寝られないもんね。


ふと女が寝ているところに男が潜り込むのを想像したら、なんだか卑猥に思えてきた。逆のことをあたしはしょっちゅうしているのに。


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