ツンデレくんを呼んでみた。
「ごめん、中出」

「なんで俺に謝るん」

「あたしが悪いから」

「俺には何の被害もない。奈子の問題やろ」

「…………でも、最後まではしなかった。途中で逃げてきた」


中出が盛大なため息が漏らした。


「奈子は最後までしたかったんやないの?」

「何それ。どういうこと」

「いつも言ってるから」


中出の言葉に、頭がカッと熱くなった。真っ赤で狂暴な衝動に駆られる。


あたしは起き上がって中出の腕を拳で殴った。筋肉質で意外に固かった。


「……いって」

「あたしを何だと思ってるの!? そんな節操無しに見える!?」

「何怒ってん」

「あたしは中出以外の男にそんなこと言わないし、思ったこともない!」


ギッと中出を睨みつけると、いささか驚いたように目をしばたたかせる中出と目が合った。しばらくそのままで、先に逸らしたのは中出だった。


「……今、サラッとすごいこと聞いたわ」


中出が呟くのを聞いて、あたしは中出から顔を背けた。腹がギリギリと鷲掴みされたように痛む。


中出は、あたしはやれれば誰でもいいと思ってたのか。


中出の中で、あたしは山崎と同類だったのか。


一年も一緒にいるのに、なんでそんなことが言えるんだ。確かに中出の前ではけっこう言ってたけど、それは中出が好きで、中出と付き合っているからだ。


なんでそれすらわからないの。どうしてわかろうとも思わないの。


中出の前で泣きたくないのにじわじわと涙が滲んできた。


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