ツンデレくんを呼んでみた。
「中出だったらよかったのに……」


笑って泣きながらあたしがぽつりと呟くと、中出の静かな笑い声が消えた。


「あれが中出だったら、あたしは喜んで差し出したのに」

「俺は人の血見て興奮しねえぞ」

「知ってるよ。それ以外の話」


初めて触れたのが中出だったら、何の不満もなくただ幸せだったのに。


でもそれは決して中出に非があるわけじゃない。


あたしが全部悪い。


「……途中まででいいんけ?」

「え?」

「そんなん、事故やと思えばいいやろ。奈子がしたくてしたわけじゃないんやから」

「…………」

「イヌに噛まれたくらいに思っとけば」

「噛まれてない。舐められた」

「じゃあそう思えば」


これは中出なりに慰めてくれているのだろうか。


頭から中出の手が離れて「寝る」という声が降ってきた。


「……眠くない」

「俺が眠い。離れろ」


あたしは渋々中出から離れた。


部屋の電気を消してベッドに移動した。


布団に潜り込んで、背を向けている中出の背中にくっついた。


相変わらず甘い匂いがする。


「熱い鬱陶しい離れろ」

「……罵倒の三連発」


おかしくてわずかに笑いを漏らした。でも中出からは離れなかった。


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