ツンデレくんを呼んでみた。
「……ごめんなさい」

「だから、なんで奈子が謝るん」

「中出を、裏切った」

「別に裏切られたとか思ってねえし。そもそも信用もしてない」

「……ひどい」


ひどい男だ。何のために一年も付き合っているんだろう。


「なあ」


あたしが動かないでじっとしていたら、中出もそのままにしていた。やっぱり眠いらしい。


「奈子は何に落ち込んでるん」

「え?」

「俺を裏切ったってことけ? それとも、男に襲われたこと?」

「何言ってんの」

「鬱陶しいから」

「……あんたはなんであたしと付き合ってんだ」


今くらい口の悪さは封印してくれてもよくないですか。


ましてや、あんなことがあった直後なのに。


「……どっちも、かなあ。よくわかんないや」


あたしの中でいろんな感情が渦巻いてごちゃごちゃしている。その一つ一つが何かなんて今は考えられない。


「でも、中出がいいってのはほんとだよ」

「あっそ」


あたしは中出に背を向けた。部屋の空気は既に冷たくなっていた。


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