ツンデレくんを呼んでみた。
「暑いキモい離れろ」

「中出って絶対最後に離れろって言うよねえ」

「うっとうしいわ」

「嫌だー」

「……襲うぞ」


中出の一言で、あたしの笑みが一瞬にして消えた。体が金縛りにあったように動けない。


「そんな話した後にくっつかれたら、嫌でも触りたくなるから」


心臓がなぜか破裂しそうだった。


中出が痛いくらいの力であたしの肩を掴んで引き剥がす。


「……触れば、いいじゃん」

「だめ」

「なんで……」


中出はそれきり黙った。


『嫌でも触りたくなるから』とは、どういう意味だろう。


聞きたかったけど聞けなかった。


どうして中出は頑なにあたしに触れようとしないのか。


どうしてだめなのか。


あたしは中出の知らないところが多過ぎる。


「……中出が嫌なら、あたしは何も言わないよ」

「…………」


わからない。何もわからない。


いいわけがない。触れてほしいのに、嫌ならそれでいいなんて思っていない。


でも、嫌々触ってほしいとも思えない。


あたし達は合わないところも多過ぎる。


「……違う」


中出がわずかに口を開いて呟いた。


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