ツンデレくんを呼んでみた。
「腹立つ、から、触ったら歯止めきかなくなる」

「…………何それ」

「他の男に触らせるわ、俺に包み隠さず聞くわ……」

「…………」

「何も思わないと思った?」

「思った」

「思わなかったら付き合ってねえ。どうでもよかったら一緒にいない」


中出があたしの腕を掴んで引き寄せる。それから眼鏡を外された。


「……奈子のせいやからな」


あたしの瞳を覗く中出の目がわずかに潤んで、辛そうに細められている。


「なんで、そんなに……」


辛そうな顔してるの。


あたしが中出の頬に手を当てると、一瞬にして掴まれた。


問い掛けに中出は答えなかった。


中出がゆっくり顔を近づける。


「俺には、何されてもいいやんな」


中出が自分の眼鏡を外して耳元で囁くように呟いて、あたしはカッと顔が熱くなった。


「いいよ…………中出、になら」


お互いの吐息が触れ合いそうな距離でそう呟くと、「じゃ、遠慮なく」と中出の言葉と共に唇が重なった。


腰を引き寄せられて、体を重ねるようにくっついて、あたしの鼓動が中出に伝わってしまいそうだった。


激しく、乱暴に唇に噛み付く。時々労るようにちゅ、と吸われて、体の力が抜けていく感覚を覚えた。


「っ…………ん」


腰を中出の腕が支えているけど、離れたらたぶんあたしはそのまま倒れる。


唇ってすごく敏感なんだなとぼんやりした頭で思った。


やがて、するりと中出の舌が唇を割って、あたしの咥内に入ってくる。


舌先が触れた瞬間、あたしはぴくりと震えた。


二人の舌がゆっくりと絡まって、時々吸われる。


よくわからない声が漏れていた。


熱い。


中出の手も、唇も、舌も、吐息も、あたしの体も、全てが熱い。


そして、体がゆっくりと倒された。


< 74 / 104 >

この作品をシェア

pagetop