甘い心はあなた一色
髪とかぼさぼさだけど、今日は仕方ない!
あぁ、織くんに会っちゃったらどうしよう……。
こんな姿で会いたくない………けど会いたいっ!!
「彼方、準備できた!」
バタバタと階段を降りると、リビングにお母さんとお父さん、そして彼方が椅子に座っていた。
「もう紗英子ー?彼方くんに迷惑かけちゃだめでしょー?」
め、迷惑とか言わないでよお母さんっ!
あたしだってかけたくてかけてるわけじゃ……。
「大丈夫ですよ、おばさん」
心の中でいいわけをするあたしを前に、彼方はにこやかに笑った。