籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
マルセルはしばらく黙り込んだあと、パフィの手を優しく握り返した。
「……ありがとう」
マルセルがやっとのことで紡いだ言葉に、ティアナは目頭が熱くなった。
(よかった……二人が仲直りできて)
そう安心したのも束の間のことだった。
微笑みながらマルセルの手を握っていたパフィの手から力がなくなり、するりと滑り落ちていった。
「……!?」
「パフィ!」
パフィは力なく崩れ落ち、ディオンが辛うじて彼女を支えているだけだ。
「どうしたの!? マルセル、薬を……!」
そう言ったところで、ティアナははっと息を呑んだ。
ふと目に入った、自分の指にはめられた指輪―――
魔法の指輪に、4つの宝石が揃っていた。
アメジストの隣に、青く煌くサファイアが、戻ってきている。
「なぜ!?」
ティアナは急いでパフィの胸元を確認し、青ざめた。
「サファイアがない!」
「えっ!」
「わたしの指輪に、サファイアがあるの! どうしようマルセル、パフィが死んでしまう」