籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~
戸惑うティアナの手をとり、指輪に最後の宝石、ルビーをはめ込む。
4つの宝石が揃ったその瞬間、すべての宝石が煌き、ティアナの体にさっと熱が駆け巡り、胸の奥に留まった。
ティアナはそっと胸に手を当てた。
熱い。
熱が冷めない。
自分の髪が風もないのにひとりでに舞い踊っているのに気づき、ティアナは怖くなってベッドの傍らにしゃがみ込み、体を腕で包んだ。
「なんで、こんな」
混乱するティアナの肩に、マルセルがそっと手を乗せる。
「まだわからない? 王が君を欲しがっていた理由が」
「え……」
(マクベス王がわたしを欲しかった理由……?)
震えるティアナを見かねたエリアルが手を伸ばし、ティアナの髪を撫でる。
すると、胸の熱が少し和らいでいくような気がした。
「……あなたはわたしと同じ、大きな魔力を持つ女の子。普通の魔導士が束になっても敵わないような、ね」
「わたしに、魔力?」
「あなたはずっと庭園に閉じ込められてたわ。あなたの力を抑え込む魔法をかけられた庭園に」
「……」
「あなたはわたしの声が聞こえ、わたしの願いを感じたわ。あなたももう、気づいているでしょ?」