籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~


ティアナは何のことかわからなかったが、すぐに頷いた。


「わたしでできることだったら、なんでも」


ティアナの言葉を聞くと、エリアルは細い手を枕の下へと潜りこませた。


「あの人は驚くかしら。実はあなたの大切なものを、ずっとわたしが預かっていたのよ」


丁寧に折りたたまれた白いレースのハンカチを、枕の下から取り出した。

そしてハンカチを開き、一粒のルビーを取り出す。


光に輝くそれはずっと探していた、ティアナの指輪のルビーだった。


ティアナとマルセルは驚きに目を見開き、2人の様子にエリアルは口元に手を当ててくすくすと笑った。


「これを渡してしまったら、もう止められないような気がして隠していたの……わたしに会いに来てくれていたなら、渡してもよかったのだけど」


一瞬視線を下に落としたが、すぐに顔をあげてルビーをティアナに差し出す。


「あなたにお返しするわ。そしてあの人……マクベスに、わたしからの贈り物を届けてほしいの」


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