あたしと寮と狼先輩。






「……………」



桐原先輩は何も言わず、あたしのことを見ていた。





あたし、何やってんだ…

先輩のこと引き止めたら、迷惑かかるに決まってるじゃん。馬鹿。





『す、すみません!今の冗談です、忘れてください…ははは』



パッと掴んでいた洋服を離した。

そして出来るだけ笑顔を見せた。


こうやって甘えてしまうから、1人で部屋にこもりたかったんだよ…

こんなことで誰かに面倒かけてしまうのは本当に嫌だ。




ずっと下を向いていると、ベットが小さく揺れた。


隣を見てみると…


『せん、ぱい………?』



あたしの隣に腰掛けている先輩がいた。

ベットは2人分の重さを抱え、ミシッ…と音がなる。






「お前はまじで馬鹿だなチビ」



今日だけで馬鹿とチビを何回言われたんだろう………

ただ、先輩の言い方には初めて話したときよりも棘はなくて。

おかしいかもしれないけど、今は先輩にそう言われるとドキッとする。




『馬鹿じゃ、ないです…』


そう言うと、はあ…とまた溜息。

先輩、そんな溜息ばっかりだと幸せ逃げちゃうよ。










< 93 / 106 >

この作品をシェア

pagetop