あたしと寮と狼先輩。
「……………」
桐原先輩は何も言わず、あたしのことを見ていた。
あたし、何やってんだ…
先輩のこと引き止めたら、迷惑かかるに決まってるじゃん。馬鹿。
『す、すみません!今の冗談です、忘れてください…ははは』
パッと掴んでいた洋服を離した。
そして出来るだけ笑顔を見せた。
こうやって甘えてしまうから、1人で部屋にこもりたかったんだよ…
こんなことで誰かに面倒かけてしまうのは本当に嫌だ。
ずっと下を向いていると、ベットが小さく揺れた。
隣を見てみると…
『せん、ぱい………?』
あたしの隣に腰掛けている先輩がいた。
ベットは2人分の重さを抱え、ミシッ…と音がなる。
「お前はまじで馬鹿だなチビ」
今日だけで馬鹿とチビを何回言われたんだろう………
ただ、先輩の言い方には初めて話したときよりも棘はなくて。
おかしいかもしれないけど、今は先輩にそう言われるとドキッとする。
『馬鹿じゃ、ないです…』
そう言うと、はあ…とまた溜息。
先輩、そんな溜息ばっかりだと幸せ逃げちゃうよ。