ポケットにキミの手を
「……どうした?」
「ちょっと怖くなっちゃって。私、こんなに幸せだなぁって思えるの初めてなんです。そしたら、これがいつまで続くのかなとか、変なことばっかり考えちゃう」
「後ろ向きだなぁ」
松の木の傍で立ち止まり、彼女を腕に抱き込む。
「つか、さ、さん。人が」
「今は誰も居ないよ。居ても関係ないしね」
「関係なくは……っ」
反論する口を塞いで、そのまま抱きしめる。砂利に鞄が落ちた音と小さく呻く彼女の声だけが静寂の日本庭園に響く。
「ん」
「いつまで続くのか、じゃなくていつまでも続かせるんだよ。変なこと言うから、欲しくなるじゃん」
目を瞑って、俺を受け入れる彼女の顔。
どれだけ欲情をそそるのか、わかっているんだろうか。
「おいで。不安なんて消してあげる」
「え?」
その後は有無をいわさず、彼女を部屋に連れ込む。食事の時間を一時間ずらしてもらうように連絡をいれて、風呂の間に綺麗にしかれた布団に押し倒した。
彼女の浴衣は簡単にはだけ、温泉で磨かれたツルツルの肌は感度が良い。
俺が与えるもので彼女はこんなにも魅惑的になる。一緒にいて、俺がどれだけ癒やされているのか。教えてあげたいくらいだ。