ポケットにキミの手を

古い家なのだろう、廊下が広く部屋数も多そうだ。
通されたのは二間続きの畳敷きの部屋で、座卓の上座を勧められたが、下座の方に菫と並んで座布団の手前で彼女の父親がくるのを待った。

やがて彼女の父親がやってきたのでもう一度挨拶をする。
父親の方もそれほどかしこまった様子は無く、俺に座るように言うと自分は向かい側に座った。

お茶を運んでくれたお母さんが座ったところで、おみやげを渡し、最初は世間話をする。

彼女の両親の印象は至って普通のご両親だなという感じだ。
やや亭主関白気味ではあるけれども仲が良さそうで、親父さんの方は会話の幅も広い。

ただどちらも、妙に菫に対して話しかけないなという印象は持った。


「本日お伺いしたのは、菫さんとの結婚のことです。僕の一生をかけて彼女を幸せにしたいと思っています。大切な娘さんだということは重々承知していますが、どうか僕に彼女をください」


頭を下げると、彼女の両親はあっけないほど簡単に承諾してくれた。


「こっちからお願いしなきゃいけないくらいだよ。立派な男性じゃないか、司くんは。菫なんかで本当にいいのかい?」

「そうよねぇ。この子は昔から気が利かない子で。逆にご迷惑をお掛けしそうだわ?」

「いえ、そんなことは」


ホッとしたことはした。
だけど、彼女の両親の言葉に違和感を感じ始める。

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