ポケットにキミの手を

何がいけないんだろう。交際期間が短いから?
付き合う年数ってやっぱり大事なものかしら。
この先、司さんと何年も付き合って。それで気持ちは変わるのかしら。

司さんに飽きるなんてこと、私には考えられない。
逆なら、……考えられないこともないとは思うけど。


「自分たちだって見合いだろ? 知り合って一年もたたずに結婚したんじゃないのかよ」


司さんの反論に、お母様は鼻で笑った。


「お見合いっていうのは、もともと家柄的にも釣り合ったお家同士がするものなの。間違いは無いわ。その点恋愛結婚は愛情しか確かなものは無いでしょう? 感情って永遠に続くものじゃないのよ。司だって、だから痛い目にあったんじゃないの」

「その話をなんで菫の前でするんだよ」

「あなたが私の話を聞かないからよ」


司さんとお母様の間には火花でも散っているようだ。
私はどうしたらいいか分からず、ただオロオロと二人を見つめていた。

司さんは怒ることはあってもいつもどこか冷静で余裕がありそうなのに。
今日は全然違う。それはどうして?


「……あの」

「なあに? 菫さん」


私の呼びかけに、言い合いに嫌気がさしていた様子のお母様がにっこりと笑う。

笑っているのに威圧感があるのは、少し刈谷先輩に似てる。
彼女は自信があるんだ、自分の生き方や考え方に。
だからこそ悠然と笑っていられる。

司さんが何を言っても、彼女は自分の考えを変えることは無いんだろう。


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