ポケットにキミの手を

まるで、壊れない壁に向かってぶつかっていっているようなものだ。
きっと昔からそうなんだろう。
傷ついて、それでも変化のしない壁に絶望して、それでもまた向かおうとしてくれているんだ。

もうそれ以上ぶつかっていかないで。
あなたが傷だらけになってしまう。


「……お母様は、何年付き合ったら私たちの気持ちが本物だと思われますか?」

「何年って、そうね。三年くらいかしら」

「そんなに待てるわけ無いだろ!」


いきり立つ司さんの手を、テーブルの下で握る。
彼は驚いたように目を見張って、私の方をじっと見ていた。
私はただまっすぐ、彼のお母様を見つめる。


「待てと言われるなら三年待ちます。家柄で言うなら、おそらく私は一生釣り合うことは無いでしょう。それでも、いいですか? 私には彼が必要です。待つだけで許されるならいくらでも待てます」

「菫」

「その間に、司の気持ちが変わったらどうするの?」

「その時は仕方ないです。でも……」


ちらり、と彼に視線を移すと、泣きそうな顔でこっちを見てる。

もうそれ以上傷つかないで。
私にはあなたを守る力は無いのかもしれないけど、それでもできる限りで守りたいって思った。
今まであなたが私にくれたたくさんの愛情が、そんな風に思う力をくれたんだよ。

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