春に想われ 秋を愛した夏


平日の夜。

塔子が望んだ提案は週を跨いですぐ、春斗の休日にあわせて現実となった。

以前、春斗と偶然会った近所のスーパーへ三人で出向き、カートを押して食材を見てあるく。

「何を作るか、もう決まってるの?」
「うん。だいたいは。あ、でも何かリクエストがあれば、買い物前の今なら変更可能だけど」
「私、餃子が食べたい」

塔子が右手をサッと上げる。

「餃子パーティー?」

私が訊くと、冷たいビールで餃子。いきたくない? なんてニヤッと片方の口角を上げる。

確かに、いいかも。

想像した私も、釣られて口角が上がる。

「二人とも、なんか悪そうな顔つきしてる」

春斗が笑う。

「オッケー。じゃあ餃子にしよう。というか、中華でいきますか」

春斗がそういってキャベツを手にすると、塔子が餃子以外は何? と訊ねる。

「エビチリやチンジャオロース。麻婆豆腐に回鍋肉辺りなんてどうですか?」
「いいねぇ、いいねぇ。よしっ。それ全部行こう」
「え? 全部?」

春斗が口にした料理全部を塔子が食べたがる。

「ちょっと、いくらなんでもそれは無理だよ。作るのも大変だけど、食べるのも大変じゃない」

私が呆れて見せると、それもそうね。なんてすんなり折れた。

「じゃあ、エビチリと麻婆豆腐ははずせないからよろしく」

と思ったけれど、そうでもなかった。


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