春に想われ 秋を愛した夏


外に出ると暑さは容赦なく、スタジオに併設されている平置きの駐車場に停めた車の中はまるでサウナのよう。
ドアを開けた瞬間に、むわっとした熱風が襲ってきた。

「あっつ……」

ダイエット中でもないのに、こんな車に乗ったら汗だくになって干からびてしまいそうだ。

しばらくドアを開けっ放しにして、熱風を外に追い出すようにしてみたけれどあまり効き目がない。
諦めて乗り込み、ポンコツのエアコンをつけた。

「会社に着いた頃には、生きてないかも……」

何故だか温風が出てきているエアコンをひと睨みして、仕方なく気合を入れて会社へ向かった。


社に着いた頃には、干からびはしなかったものの暑さで化粧はボロボロだった。

「最悪……」

サイドミラーで自分の顔を確認して、テカリまくっている顔に項垂れる。

このまま戻ったら、新井君にまた何か言われそうだと思い、席へ戻る前にバッグを抱えて化粧室へと駆け込んだ。


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