宿った命
フォークダンスなんて小学生の時以来だ。
なんて、そう思いながら紗季を見ると、
足を出す順番が綺麗に逆だったり
回り方がぎこちなかったり・・・。
なんでこうなる?
これじゃあ、相手がかわいそーだろ。
俺はため息をついて立ち上がり、
口を尖らせながら何度も確認してる紗季の前にたった。
「え・・・修平?」
「そこ、逆に覚えてるだろ。最初は右。
左じゃないんだよ」
「え、それはわかるよ??」
「はぁ!?ほら、そこ!ストップ!!
・・・じゃあ聞くけど、今出てる方の足は
右なのか?」
俺が待ったをかけてそう言うと、
紗季は怒ったように俺を見た。
「だからぁ!右だってことはわかって・・・・
・・・左だ」
「それ、素??」
「あれ~??なんで・・・」
紗季の頭の中にあるのは“最初は右”。
だけど、紗季の足は左が最初。
面白いくらいにちぐはぐな紗季を見て、
俺は思わず大きく笑ってしまった。
「ちょっと!!修平!?」
「ちょっ、ごめ・・・っ!!あはは!!」
「修平!!なんで笑ってんの!?」
「だって・・・っはは・・
お前、よくそれで授業成り立つな??」
「もう!!いいでしょ別に!!」
あ、怒ったかも?
笑いすぎたかなぁ・・。
でも、可愛くてさぁ。
ついつい綻んでしまうのを抑えて、
俺は姿勢を正した。
「悪かったよ。ほら、手貸せ」
「え・・・っ?」